サークルで世話人を務めていただいていた黒崎さんが転勤先から戻ってきました。
3年前の在席中に31本の唄三線メッセージ「黒さんのみみぐすい(耳薬)」を配信していただきました。
関東に戻られたのでまたお願いしようと思っております。
懐かしの沖縄民謡に関する「みみぐすい」。
初心者も初級者も達人も、実はおんなじ体験や思いをもつのですね。
【黒さんのみみぐすい№7】
「黒さんのみみぐすい」担当の黒崎です
三線の練習は独学でも出来ますが、一人でやっていて色んな曲に挑戦すればするほど、問題が増えてきます。
最初は「三線を弾きたい」と思う気持ちから「弾きながら唄いたい」に変わって、「弾きながら唄えるようになったけど、自分のやってることは正しいのか?」という疑問にぶつかってしまうのです。
まず、私が初心者の頃に「?」だったのは、ひとつの曲で工工四が何種類もあることと、自分が練習に使っている工工四と、CDとかで聞く曲の所々が違っていたり、曲によっては歌詞までも違っていたことです。
たとえば、私たちヤマトンチュが小さい頃から耳にしてきた童謡の「チューリップ(ドレミ ドレミ ソミレドレミレ…)には、いろんな弾き方といろんな歌詞があるんだよ」と言われてもピンとこないものですよね。
基礎三曲の「安波節」についても、私がはじめて習ったときの一番の歌詞は「かりゆしぬ遊び…」でしたが、市販のCDでは「安波ぬまはんたや…」が多く歌われています。
私の疑問は、「どちらが正しいの?」だったのですが、結局「どちらも正しい」が正解で、今考えると初心者の頃って、こんなことも分からないでいたんだなぁ…と、思い返します。
また、特に発音については「正しさ」を求めれば求めるほど「疑心暗鬼」になってきます。
沖縄本島の唄は本島の人に、宮古の唄は宮古の人に聞いてもらうのが一番良いのですが、本島でも北部と南部で方言がありますし、加えて首里近郊でも微妙に発音やニュアンスが違うそうです。
ましてや、同じ八重山諸島でありながら、石垣島、波照間島、竹富島、与那国島(与那国は八重山諸島?)で、それぞれの方言がありますし、となりに見えている島であっても、朝のあいさつも違うし言葉が通じないことさえあるそうですから、自分が歌う島唄をその土地の人に聞いてもらうなんて、ほとんど不可能ですよね。
結局、私がたどり着いた答は「明るい歌は明るく」「教訓歌は言い聞かせるように」など、『何の歌か?』だけを考えて唄うということです。
言葉や発音はある程度間違ってても笑って許してもらえる(誰に?)のではないかな?と思います。
宮古の人の前で、完璧な宮古方言で歌うヤマトンチュよりも、発音なんか少々間違ってても、唄の意味を理解した上で、その土地で生まれた歌を、心を込めて唄った方がよいのでは?と考えるようになったのでした。
子守唄ということを知らずに、弦をバチバチ叩きながら、大きな声で歌ってたら…さすがに恥ずかしいッス!